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2023年06月
令和6年度 電子出版制作・流通協議会 活動計画
令和6年度の電子出版を取り巻く環境は、「読書バリアフリー法」に基づく読書のアクセシビリティ確保への取組みや、コンテンツ業界に損害をもたらす海賊版サイトの存在、クリエイター育成や創作活動そのものに影響を与える生成AIの出現で生じた著作権の法的解釈の明確化、運用ルール等々、依然として諸々の課題を抱えている。
設立15年目の節目を迎えるにあたり、諸々の環境変化に対応した今後の在り方を今一度再確認し、設定した電流協「パーパス」とそれに沿って定めた5つの行動指針を常に自らの活動に照らし合わせ、電子出版、ひいては出版業界の新たな発展の形を皆様とともに求めていく。
設定したパーパスと5つの行動指針は下記の通り。
○パーパス:「デジタルパブリッシングとコンテンツプラットフォームビジネスの新たな 読書環境づくりに貢献します」
○行動指針
・より多くの人がコンテンツを利用できる環境の実現に向けた支援活動
・電子出版やデジタル印刷を活用した持続可能(サスティナブル)な社会の実現
・最新のウェブ技術やクリエイターエコノミーがもたらす新たなコンテンツ市場創出や国内コンテンツの海外展開の推進に向けた調査研究
・デジタルコンテンツ市場の健全な発展のため、出版関連団体及び行政と密接に連携して、海賊版対策など業界が抱える共通課題の解決に向けた基準・規格作りの議論や提言などの取組み
・テーマ別研究会やオープンセミナー等を通じた最新の業界動向やオープンイノベーションの機会提供
【技術委員会】
デジタル印刷・オンデマンド制作流通部会
【流通委員会】
流通規格・流通配信部会
電子図書館・コンテンツ教育利用部会
【広報普及委員会】
【電子出版アクセシビリティ研究委員会】
電子出版アクセシビリティ制作ワーキンググループ
電子出版アクセシビリティ流通ワーキンググループ
【電流協アワード選考委員会】
【テーマ別研究会】
電子出版ビジネスモデル研究会
海外デジタルコミック流通研究会
※なお各委員会、部会、研究会の開催日は、「活動スケジュール」でご確認ください。
活動計画詳細
【技術委員会】
<デジタル印刷・オンデマンド制作流通部会>(月例開催)
・出版市場の低迷により、書店の減少が問題となるなか、物流コスト増など出版をとりまく環境は日に日に厳しさを増している。返本率も大幅な改善もなかなか進まない中ではあるが、新しい出版流通の動きも見られる。初版発行部数の適正化、小口重版対応、在庫削減など無駄のない出版活動として、小ロット対応できるデジタル印刷が期待されている。今年度は、書協生産委員会と連携、デジタル印刷導入の成功事例のセミナーを実施し、デジタル印刷の導入を図る中小出版社支援とともに、課題の解決を図る活動を予定している。特に、初版オフセット印刷重版デジタル印刷のシームレスなハイブリッド出版を進めるための課題として製造面での紙や仕様変更、著作権問題等についてのガイドとなるルールの明示化を図る為の協議を書協生産委員会と進めることを予定している。
【流通委員会】
<流通規格・流通配信部会>(月例開催)
・電子出版流通の継続的な発展に必要な共通書誌やジャンルコード等に関する関係団体の動向を共有し、制作・流通過程における対応や課題について整理する。
・生活者のライフスタイル、消費スタイルの変化とともに、電子出版を含む出版物の形や流通のあり方も大きく変化していく中、コンテンツビジネスに影響を与え得る新技術や新サービス等について、外部講師も招きながら、制作・流通業界が対応していくためのヒントとなるような有益な情報提供を行って行く。
<電子図書館・コンテンツ教育利用部会>(月例開催)
・コロナ禍以降急速に自治体における導入が進んだ電子図書館であるが、今後は、電子図書館における電子書籍の利用と定着に取り組むことが課題と捉えている。導入後に利用が減少することを懸念しており、そのために特に「電子書籍による子供の読書活動推進」と「中小自治体での電子図書館導入」をテーマとして考えている。
・また、電子図書館の動向を検証するため例年実施している公共図書館及び電子図書館サービス事業者に対する「電子図書館・電子書籍サービス調査」は、これまで「図書館を設置している自治体」を中心にアンケート調査を行ってきたが、今年度は、「図書館を設置していない自治体」約400自治体に対してもアンケートを行う予定である。
・チャレンジ案件として「電子図書館利用者調査」を検討している。電子図書館サービスもITサービスである以上、利用者目線を持たねばならず、現状の利用者、未利用者についての「電子図書館」の調査を図り、ユーザーサイドにたった利点・問題点を探り、各事業者のサービス品質向上に役立たせることを検討している。子供の読書活動推進に伴い、義務教育における「電子書籍利用」を図るための課題についても検討する予定である。以上の活動を、例年発行している「電子図書館・電子書籍サービス調査報告書」にて発表するとともに、セミナーや動画配信などを利用した情報発信を行う予定である。
【広報普及委員会】(月例開催)
・電子出版市場活性化のための普及・啓蒙活動を強化すると共に、当協議会のプレゼンス向上につながるような活動を推進する。
・広報的な視点から、従来から実施している会員向けセミナーやオープンセミナーに関して新たな集客や参加しやすいセミナー開催方法について検討を行うと共に、電流協アワードの実施を通して電子書籍市場の拡大に寄与していく。
【電子出版アクセシビリティ研究委員会】
-電子出版アクセシビリティ制作ワーキンググループ-(随時開催)
・読書バリアフリー基本計画に謳われている「アクセシブルな電子書籍等の普及」について、制作の立場から現状を調査して課題の抽出を行い、それを解決するために必要な要件を明らかにしていく。
・会員社をはじめとした電子書籍の制作に関わる幅広い事業者と連携を行いながら、実効性のある研究を実施していく。
-電子出版アクセシビリティ流通ワーキンググループ-(随時開催)
・読書バリアフリー基本計画に謳われている「アクセシブルな電子書籍等の普及」について、流通の立場から現状を調査して課題の抽出を行い、それを解決するために必要な要件を明らかにしていく。
・会員社をはじめとした電子書籍の流通に関わる幅広い事業者と連携を行いながら、実効性のある研究を実施していく。
【テーマ別研究会】
-電子出版ビジネスモデル研究会(改変予定)
・期中に研究会としての枠組みを外し、国内外で発表される電子出版や出版を中心としたメディア関連、デジタルコンテンツに関する新技術・新サービスなどの動向について、会員社の誰もが視聴できる情報収集の場、考察のきっかけになる様な情報配信サービスへの期中での改変を検討。(名称・開催時間・頻度の検討)
・電子出版業界・出版の動向について、全体を俯瞰し理解できる様、「電流協 電子出版・出版マップ」の制作を継続し、要望に応じて提供し、入会促進ツールとしても活用する。
・上記の改変により、電流協の活動を広範囲にわたって知って頂く機会、認知度の向上にも活用する。
・提供する情報に関連したセミナーの開催
-海外デジタルコミック流通研究会-(月例開催)
・海外流通の現状について、国の調査や公開資料などをもとに調査を行うとともに、海外進出している出版社や電子出版流通事業者などにヒアリングやアンケートを実施することで明らかにしていく。