このページの本文へジャンプ 
サイト共通メニューへジャンプ 
会員向けメニューへジャンプ
電子出版制作・流通協議会



News Letter Vol.010 「公共図書館のデジタル化」

公共図書館でのデジタル化活用事例、電子図書館導入事例、韓国の先進事例から

2012年11月20日 13:00-14:30
パシフィコ横浜 第八会場 (E206)

韓国公共図書館デジタル化動向について

【講師】
日本ECO相談役
電子出版制作・流通協議会 公共ビジネス部会部会長
 山崎榮三郎

 日本より進んでいる韓国の事例をお話させていただきます。
 韓国では国会図書館とは別に、国内全ての図書館を管轄する国立中央図書館があり、なお3年前に国立中央図書館隣にデジタル図書館もできています。
 デジタル図書館では、デジタル化された新聞や雑誌が読めるシステムが実現され、実物大で読める大きなディスプレイも設置されています。又、PC閲覧室には600台以上のPCがありますし、敷地内ではWiFiも可能となっています。このような環境が当たり前になっています。
 韓国と日本と比較してみますと、人口は日本の約4割、面積は日本の1/4ですが、スマートフォン契約数を見ますと、その普及率は日本の2.5倍になっています。今年の12月末には、20歳代~40歳代の人達では一人1台、50歳代~65歳でも4人に3人は持つと言われています。
 公共図書館数は日本の約1/4ですが、小さな図書館は全国の農漁村に約3600館あります。日本の電子書籍に対応した図書館は、現在は、11 館です。韓国はその段階で、457館と全体の約6割になっています。電子出版・電子ジャーナルのコンテンツ数は、日本が200万、韓国は640万と3倍になっています。

・韓国公共図書館の実体
 2003年度との比較で、韓国の公共図書館は1.6倍に増えていますが、日本は1.15倍とほぼ横ばいです。
 なぜ、韓国の公共図書館は増えてきたのでしょうか。そしてデジタル化が進んできたのでしょうか。
 一つ目は、大統領直轄機関として図書館情報政策委員会があり、国の政策として戦略的展開を図るべき、公共図書館の戦略ビジョンを作っています。
二つ目は、図書館を、先進一流国家を先導する機関と位置づけ、創意的人材育成の役割強化を目指しています。図書館は、国を一流にしていくためのインフラと考えています。国民の知識情報格差解消や、教育・学術・研究の中心的な役割をも担っています。
三つ目は、これらを支えるものとして、国立中央図書館及びデジタル図書館の存在と役割があります。
四つ目は、国の政策に沿うシステムの展開には国から半額程度の支援を受けられます。
五つ目は、システムの標準化が図られているために、例えば、利用者個人による相互貸
借サービスが可能になっています。
六つ目は、利用者の視点から365日24時間サービスが出来るようなシステムにより、利用者は図書館に行かなくてもサービスが受けられます。
七つ目は、スマートフォンの急激な爆発的普及により、スマホ利活用のシステムが当たり前になっています。


 図書館サービスの概念図

 自宅からだけでなく、動きながら本の予約が出来ます。ネット予約した本は、出勤途上に地下鉄の駅で貸し出してくれます。更に、電子書籍で読みたい方は、地下鉄車内や駅、公園等で、スマートフォンを利用して読書が楽しめるようになっています。

・電子書籍システムの状況
 スマートフォンやタブレットを使った電子書籍サービスは200館を越えています。
 ビューアソフトも共通化されていて、利用者はソフトを意識せずに使えます。相互貸借は利用者からアクセスが可能で、自宅まで届けてくれます。
 日本は、著作権対応への大きな問題がありますが、韓国の場合、新刊本については5年経過したものをデジタル化しています。デジタル化した本を読む場合、複写電送権協会が著者に対価を払う仕組みになっています。デジタル図書館から配信する際には送信料、印刷の場合には印刷料が発生するなど、細かく決められています。
「リブロピア」というスマートフォン・タブレットを使った図書館システムが非常によくできています。貸出、返却、検索、予約等の図書館システム全体が組み込まれた上に、スマホの持っている機能がプラスされて、使い易くなっています。例えば、自分の近くに図書館があれば、自動的にスマートフォンの地図上に表示されますので、タップしますと、その図書館にアクセス出来ますし、様々な情報が手元に現れることになります。

・国立デジタル図書館の事例
 図書館内の座席予約が出来るシステムも大きな表示ディスプレイを使い、タッチ式で可能となっていますし、本を受け取る予約ロッカーも整備されています。
 予約ロッカーは、インターネットで予約した本を地下鉄の駅や大手スーパーで受け取れる仕組みで、利用者カードをかざして、本人確認後にロッカー内の本が受け取れます。

仁川市立図書館の事例
 仁川(いんちょん)市では、駅や空港等公共施設にキオスク端末が置いてあります。キオスクに書かれた有名人の書いた本の感想などを読むことができます。表示されている二次元バーコードを読み取ることで、電子版の本を借りることができます。飛行機を利用するビジネスマンは忙しい人が多く、図書館に行く時間は無いが、本は読みたいという人達向けに、読書と人との出会いの場を増やすシステムを取り入れています。

【講演終わり】

【本文終了】